経営力向上計画とは?制度の概要・申請の手順・調べること・提出先を公式資料で整理

経営力向上計画のまとめ(申請の手順と提出先)

「経営力向上計画」は、設備投資の税制優遇(即時償却など)を使うときの前提になる、国の認定制度です。令和8年(2026年)7月末までに20万件あまりが認定されています。申請書は3枚程度と短いのですが、提出先が業種ごとに違い、設備は「買う前」に手続きが要るなど、手続の順番を間違えやすい制度でもあります。先日、たまたま相談を受ける機会があったのですが、書類自体、私が見るのも数年ぶりでだいぶ忘れていたので、復習がてら、この記事では、制度の概要、申請から認定までの手順、申請の前に調べておくこと、提出先を、中小企業庁の手引きなどの公式資料に沿って整理していきたいと思います。

 筆者は中小企業診断士と行政書士の資格を持ち、宮崎で中小企業の支援をしています。提出先は、宮崎県の事業者を例に書きました。内容は2026年10月10日時点の公開資料によります。

  • 経営力向上計画とは何か、認定されると何が使えるか
  • 申請から認定までの流れと、設備を買うタイミング
  • 申請の前に調べておく5つのこと
  • 業種ごとの提出先(宮崎県の事業者の場合)
目次

経営力向上計画とは:自社の経営力を高める計画を、国に認定してもらう制度

 中小企業庁の「経営力向上計画策定の手引き」は、この計画を「人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上するために実施する計画」と説明しています。事業者が計画をつくって申請し、国の認定を受けると、税制や金融などの支援を使えるようになります。

 根拠は中小企業等経営強化法で、制度は平成28年(2016年)7月に始まりました。認定するのは、その事業分野を所管する大臣です。実際の窓口は、多くの分野で、経済産業局など国の地方の出先機関となっています。中小企業庁によると、令和8年7月31日現在で203,100件が認定されています。

 認定を受けられるのは、会社、個人事業主、医療法人、社会福祉法人、NPO法人などで、常時使用する従業員が2,000人以下の事業者です。個人事業主は、開業届を出していることが前提になります。ただし、税制や金融支援には、資本金1億円以下などの別の条件があります。

 下の図は、手引きの冒頭にある制度の全体像です。事業者が計画を申請し、国(事業分野別の主務大臣)が認定すると、右側に並ぶ支援措置につながることが読み取れます。同じページの「ポイント1」には「申請書様式は3枚程度」とあり、求められているのが分厚い事業計画書ではないことも分かります(この記事の図は、タップやクリックで拡大できます)。

経営力向上計画策定の手引きの1ページ目。事業者が計画を申請し、国(事業分野別の主務大臣)が認定すると、税制、資金繰りの支援、補助金の優先採択、事業承継の税の軽減、法的支援につながることを示す図と、「申請書様式は3枚程度」など制度利用の3つのポイント
出典:中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」(令和7年9月1日版)P.1 を画像にして掲載 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf(2026年10月10日閲覧)

名前が似た2つの制度との違い

 同じ法律には、名前の似た計画があと2つあります。どこが認定するかと、主な使いみちが違います。

計画認定(承認)するところ主な使いみち
経営力向上計画国(事業分野を所管する大臣。窓口は経済産業局など)設備の即時償却・税額控除、金融支援など
先端設備等導入計画設備を置く市町村設備にかかる固定資産税の軽減など
経営革新計画原則として都道府県知事新しい事業活動の計画。ものづくり補助金などの加点、融資・保証の特例など
中小企業等経営強化法(第14条・第17条・第52条)と、宮崎県・宮崎市の案内をもとに筆者作成

認定を受けると使える支援:税制・金融・事業承継・補助金の加点

 認定で使えるようになる支援は、大きく4つです。

支援内容注意点
税制(中小企業経営強化税制)認定計画に載せた設備を取得して事業に使うと、原則として、即時償却か、取得価額の10%(資本金3,000万円超の法人は7%)の税額控除を選べる青色申告を行う資本金1億円以下の法人などが対象。税制の類型(A~E)に応じ、設備の種類ごとに、事前の証明書・確認書が要る
金融支援日本政策金融公庫の融資、信用保証の別枠など計画を申請する前に金融機関などへ相談する。認定を受けても、融資や保証は金融機関などの審査しだい
事業承継などの支援事業譲渡で取得する不動産の不動産取得税の軽減、許認可の承継の特例など計画に事業承継などの内容を書く。最終契約の前に認定が必要なものがある
補助金の加点一部の補助金で、審査のときに加点される補助金によって対象となるか否かに差があり。
中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」(令和7年9月1日版)と「支援措置活用の手引き」(同)、租税特別措置法、日本政策金融公庫の案内をもとに筆者作成。

設備の税制は4つの類型。事前に取る書類が違う

 このうち、設備投資を考えている会社に関係が深いのが税制です。即時償却を選ぶと、設備の取得価額を原則として事業に使い始めた年度に全額損金にできるため、課税所得が見込まれる年度の税負担を抑え、資金繰りの改善につなげられます。ただし、通常の減価償却を前倒しする仕組みであり、税負担を繰り延べる効果が中心です。

類型対象になる設備事前に取る書類
A類型(生産性向上設備)一定の期間内に販売されたモデルで、旧モデルより生産性が年平均1%以上高い設備工業会等の証明書(販売店を通じてメーカーに依頼する)
B類型(収益力強化設備)年平均の投資利益率が7%以上と見込まれる投資計画の設備経済産業局の確認書(先に公認会計士か税理士の確認を受ける)
D類型(経営資源集約化設備)事業承継等に伴い取得する設備で、修正ROAまたは有形固定資産回転率が一定の基準を満たす投資計画に係るもの経済産業局の確認書(先に公認会計士か税理士の確認を受ける)
E類型(経営規模拡大設備)売上高100億円超を目指す会社の設備。設備導入に伴って新設・増設する建物等も対象も対象になりうる
※E類型の建物・建物附属設備は即時償却の対象ではなく、所定の要件に応じて15%・25%の特別償却、または1%・2%の税額控除となります。
経済産業局の確認書(公認会計士か税理士による事前確認等が必要)
国税庁「令和7年度 法人税関係法令の改正の概要」、九州経済産業局「中小企業経営強化税制」、農林水産省の案内をもとに筆者作成

 この税制は、令和7年度、令和8年度と続けて見直されました。令和7年度の改正で、デジタル化設備のC類型がなくなり、E類型が新しくでき、B類型の投資利益率は5%から7%に上がりました(要求がシビアになっている印象ですね)。令和8年4月からは、対象になる工具と器具備品の金額が、1台30万円以上から40万円以上に上がっています。

 適用期限は令和9年(2027年)3月31日です。経済産業省は令和9年度の税制改正で延長を要望していますが、2026年10月の時点では要望の段階で、決まったものではありません。

補助金の加点は、補助金ごとに確かめる

 手引きは支援措置の一つに「認定事業者に対する補助金における優先採択」を挙げています。ただ、実際に加点されるかどうかは、補助金ごとに違います。

 筆者が2026年10月に公募要領で確かめた範囲では、加点の項目に経営力向上計画があったのは、小規模事業者持続化補助金〈一般型 通常枠〉第20回(商工会議所地区の公募要領 第8版)でした。基準日までに認定を受けていることが条件で、申請中の計画は対象になりません。

 一方、ものづくり補助金(23次)と、新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(第1回)の加点の項目にあるのは「経営革新計画」で、経営力向上計画ではありません。省力化投資補助金(一般型・第8回)とデジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)の加点の項目にも見当たりませんでした。

 「認定を取れば補助金で有利になる」とひとくくりにせず、申請したい補助金の公募要領で確かめてください。持続化補助金については、第20回の公募要領をまとめた記事もご覧ください。

申請から認定までの流れ:設備は「買う前」に手続きをする

 手引きは、制度を使う流れを4つの段階で示しています。下がその図です。

経営力向上計画策定の手引きの「制度活用の流れ」。1 制度の利用を検討・事前確認、2 計画の策定(日本標準産業分類の確認、事業分野別指針の確認、計画の策定)、3 申請・認定、4 計画の開始と取組の実行、の4段階が上から順に並ぶ
出典:中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」(令和7年9月1日版)P.2 を画像にして掲載 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf(2026年10月10日閲覧)

 この図で見ておきたいのは3か所です。1つ目は、最初の段階で、使いたい支援(税制・金融・法的支援)によって準備が変わること。2つ目は、計画づくりが「産業分類の確認 → 指針の確認 → 計画の策定」の順に進むこと。3つ目は、提出先が「各事業分野の主務大臣」で、認定まで約30日かかることです。

 私、これで調査をするまで、提出は経済産業局長だよなぁ、と思っていたのですが、業種によって違ってくるんですね。例えば製造業でも通常は経済産業局長ですが、製造業でも食料品、飲料を取り扱う場合は農政局長、酒類を扱う場合は国税局長、医薬品の場合は厚生局長と、それぞれの業種を各エリアで主管する省庁の出先機関の局長宛となるなるようですね。

設備で税制を使うときの順番

 設備の税制を使う場合は、次の順番が原則です。中小企業庁のQ&A集も、証明書または確認書を取り、計画の認定を受けたあとに設備を取得するのが「原則の流れ」だと書いています。

  1. 工業会等の証明書(A類型)か、経済産業局の確認書(B・D・E類型)を取る
  2. 証明書・確認書の写しを添えて、経営力向上計画を申請する
  3. 認定を受ける
  4. 設備を取得する
  5. 税務申告で、認定書・申請書・証明書(確認書)の写しを添付する
設備で税制を使うときの原則の順番。①工業会の証明書(数日〜2か月程度)か経済産業局の確認書(標準30日)を取る、②経営力向上計画を申請する、③認定を受ける(申請から約30日が標準)。ここまでを済ませてから④設備を取得し、そのあと⑤税務申告で写しを添付する
中小企業庁「中小企業経営強化税制に関するQ&A集」「経営力向上計画策定の手引き」、農林水産省・九州経済産業局の案内をもとに筆者作成

 ここで大事なのは、設備を取得する前に、証明書と認定が要るという点です。手続きより先に設備を取得してしまうと、次に述べる例外を除いて、税制は使えません。ここでいう取得は、設備の所有権を得ることです。九州地方整備局のQ&Aは、検収が済んでいない設備は一般に未取得の状態だと説明しています(ただし、迷ったら税務署に問い合わせてください、とも書いているので注意!)。ただ、手続全般的には全て揃ってから発注というのはほぼすべての国の精度で共通ですね。くれぐれもご注意をお願いします。

 それぞれの手続きには時間がかかります。工業会の証明書は発行まで数日から2か月程度(農林水産省の案内)、経済産業局の確認書は交付までの標準処理期間が30日(九州経済産業局の案内。申請書の不備を直す期間は含みません)です。設備の見積りを取る段階で、販売店に「工業会の証明書は出ますか」と聞いておくと、あとの日程が読みやすくなるのではないでしょうか。

申請の前に、何をどこまで調べるか

 申請書(様式第1の別紙)には12の項目があります。このうち9から12は、事業承継やE類型を使う場合だけ書く欄です。一般的な設備投資の計画なら、書くのは1から8まで。そのために調べておくことは、次の5つに整理できます。先に一覧を示し、そのあと順に説明します。

調べること見るものどこまで
①事業分野日本標準産業分類(e-Stat)中分類2桁と細分類4桁のコード・項目名
②指針中小企業庁「事業分野別指針及び基本方針」自社の分野の指針の有無、指標と水準、取り組む項目の数
③自社の現状直近の決算書、ローカルベンチマーク事業概要、顧客・市場・競合の動向、6つの財務指標と経営課題
④目標の数字指針(なければ基本方針)計画期間(3年・4年・5年)と、労働生産性などの現状値・目標値・伸び率
⑤取り組み・資金・設備見積書、工業会の証明書か経済産業局の確認書取り組みの内容と時期、必要資金の額・調達方法、設備の名称・型式・数量・金額・設置予定地・取得予定日
中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」(令和7年9月1日版)をもとに筆者作成

①事業分野:日本標準産業分類の「細分類」まで調べる

 最初に調べるのは、自社の事業が日本標準産業分類のどこに当たるかです。申請書には、中分類(2桁)と細分類(4桁)のコードと項目名を書きます。手引きの見本では「24 金属製品製造業」「2451 アルミニウム・同合金プレス製品製造業」となっています。政府統計の総合窓口(e-Stat)で検索できます。

 複数の事業をしている会社は、経営力を高めたい事業の分野を書きます。この分類で、次に見る指針と提出先が決まります。電子申請の場合、産業分類、事業分野別指針名、申請先の省庁は、提出後の補正では変更できません。誤りがある場合は、審査側の指示に従って再提出する必要があるため、最初に確かめておきたいところです(面倒ですが、所轄の省庁違いになると向こうも対応できないでしょうからしょうがないですね・・・)。

②事業分野別指針:21分野にあり、なければ基本方針

 次に、自社の分野に「事業分野別指針」があるかを確かめます。指針は、その分野で生産性を高める方法などを、所管の省庁がまとめたものです。指針がある分野では、指針を踏まえて計画をつくる必要があります(私も読んだことがないので、一度読んでみたいな、と思って開きはしたのですが、短いながら淡白なので気合がいるやつですね・・・)。

 2026年10月時点で指針があるのは、製造業、卸・小売業、外食・中食、旅館業、医療、保育、介護、障害福祉、貨物自動車運送業、船舶産業、自動車整備、建設業、有線テレビジョン放送業、電気通信、不動産業、地上基幹放送、石油卸売業・燃料小売業、旅客自動車運送事業、職業紹介・労働者派遣、学習塾、農業の21分野です。これ以外の分野は、国の「基本方針」に沿ってつくります。

 指針で特に確認したいのは、目標に使う指標と水準、取り組む項目の内容と数です。たとえば製造業の指針では、常時使用する従業員が20人以下なら、指定された項目群から1項目以上に取り組みます。21人から500人なら、その項目群から2項目以上に加え、設備投資・ロボット・IT導入の項目群から1項目以上、合わせて3項目以上に取り組む必要があります。

③自社の現状:決算書とローカルベンチマーク

 申請書の「4 現状認識」には、①自社の事業概要、②顧客・市場・競合の動向、③自社の経営状況、④経営課題の4つを書きます。③は、経済産業省の財務分析ツール「ローカルベンチマーク」を使います。売上高増加率、営業利益率、労働生産性、EBITDA有利子負債倍率、営業運転資本回転期間、自己資本比率の6つの指標を、決算書の数字から出します。

 ところでローカルベンチマークの指標になっている財務指標は改定しないんでしょうかね?コロナが絡んでいる時期(2022年ごろだったかと)の帝国データバンクの数値を使っていたかと思うので・・・今使おうと思うとアフターコロナで社会情勢も変わっていますし、物価も上がって利益構造も変わっていますし、微妙だなぁとも思うところです(この点、今どうなっているかはわかりませんが、毎年財務指標が更新されるBASTとの比較もできるようにしているTKCなんかは良いですよねぇ)

 さて、下は、手引きにある記載方法のページです。左が申請書の見本、右がその書き方の説明です。

経営力向上計画策定の手引きの「申請様式の記載方法」。左に申請書の見本(事業分野、実施時期、現状認識の4つの欄とローカルベンチマークの算出結果)、右に各欄の書き方の説明が並ぶ
出典:中小企業庁「経営力向上計画策定の手引き」(令和7年9月1日版)P.5 を画像にして掲載 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/pdf/tebiki_keieiryoku.pdf(2026年10月10日閲覧)

④目標の数字:労働生産性を計算する

 計画の期間は、3年・4年・5年のいずれかです。目標に使う指標は、基本方針に沿ってつくる場合は「労働生産性」で、次の式で計算します。

 労働生産性 =(営業利益 + 人件費 + 減価償却費)÷ 労働投入量
 ※労働投入量は、労働者数、または「労働者数 × 1人当たりの年間就業時間」

 目標の水準は、基本方針では5年間の計画で2%以上の伸びが原則です。ここでは、現に有する経営資源を利用する一般的な設備投資の計画を説明します。目標の水準は、基本方針では5年間で労働生産性を2%以上伸ばすことが原則です。製造業の指針では、労働生産性を指標にする場合、3年で1%以上、4年で1.5%以上、5年で2%以上としています。その他の業種について、いくつかChatGPTにピックアップしてもらいました。何にせよ、この事業別の指針を読まないとちゃんと対応する資料は作れないわけですね。逆に言えば、そこさえ満たせば過剰な計画を立てる必要はないでしょう。

業種指針に基づく目標の考え方モデルの目標例
職業紹介・労働者派遣労働生産性を、3年で1%以上、4年で1.5%以上、5年で2%以上向上させる3年間で、1人当たり800万円→808万円。1%向上
貨物自動車運送運転者の平均労働時間の減少率は、3年で2%以上、4年で2.5%以上、5年で3%以上3年間で、平均年間労働時間2,400時間→2,352時間。2%削減
自動車整備指標として「業務関連資格等の取得」を選ぶ場合、整備要員の4分の1以上が、指定された資格を取得するか研修を受講する3年間で、整備要員12人のうち3人が、推奨される研修を受講
医療離職率、勤続年数、定着率、利用者満足度など、客観的に評価できる指標を設定する3年間で、職員の年間離職率15%→10%。5ポイント低下
介護平均勤続年数、入職率、離職率、顧客満足度などを用いる3年間で、介護職員の平均勤続年数4年→4.5年。12.5%向上

 計算では、次の3点に気をつけます。

  • ローカルベンチマークの労働生産性とは計算式が違うので、③の数字と一致するとは限らない(これは、正直引っかかったかもしれません…何か読んでいて違うな、と思って、なんで違うんだと何回も計算したような記憶があります。)
  • 伸び率は四捨五入せず、小数点第2位を切り捨てる(0.99%は「1%以上」を満たさない)
  • 分野によって指標が違う。医療や介護の指針は、離職率や勤続年数など、労働生産性とは別の指標を使う

⑤取り組みの内容と、資金・設備

 「6 経営力向上の内容」には、何を、いつまでに行うかを具体的に書き、それが指針のどの項目に当たるかを示します。「7」には必要な資金の使いみちと調達方法(自己資金、融資、補助金、リースなど)を書きます。

 税制を使う場合は、「8 経営力向上設備等の種類」に設備を書きます。設備の名称と型式は、工業会の証明書や経済産業局の確認申請書に書かれたとおりに写します。取得する予定の年月日と、設備を置く場所(都道府県と市区町村)も必要です。

 書くときは、③で挙げた課題と、⑤の取り組みがつながっているかを見直してください。東北経済産業局の資料は、現状認識に書いた強み・弱みと、実施事項の内容が合っていない申請が見られると指摘しています。

どこに提出するか⇒業種ごとに違います!

 提出先は、事業分野ごとの主務大臣です。多くの分野では、国の地方の出先機関に出します。中小企業庁のページには「中小企業庁では経営力向上計画の申請は受け付けておりません」と書かれています。制度の案内は中小企業庁、申請の受け付けは事業分野ごとの省庁、と分かれている点に注意してください。

 分野ごとの提出先は、中小企業庁の「事業分野と提出先」という一覧(Excelファイル)にまとめられています。宮崎県の事業者の場合、主な分野の提出先は次のとおりです。

事業分野の例提出先(宮崎県の事業者)
製造業(一般)、卸売・小売業(一般)など九州経済産業局(福岡市)
建設業九州地方整備局 建政部 建設産業課(福岡市)
食料品・飲料の製造、飲食料品の卸売・小売、飲食店九州農政局 経営・事業支援部 食品企業課(熊本市)
医療、介護など九州厚生局 健康福祉部 健康福祉課(福岡市)
酒類の製造・販売熊本国税局(熊本市)
九州地方整備局・農林水産省・近畿厚生局の各ページと、中小企業庁「事業分野と提出先」(2025年4月時点の版)をもとに筆者作成。九州経済産業局と熊本国税局の行は、この版の一覧によります。一覧は2026年9月3日に更新されているので、申請の前に最新の版で確かめてください

 同じ製造業や小売業でも、食料品を扱うと九州農政局、酒類を扱うと国税局になります。焼酎や食品を扱う事業者は、とくに間違えやすいところです。

 分野によっては、申請書の宛名を2つの省庁の連名にするものもあります。たとえば飲食店(外食・中食)は、2025年4月時点の一覧では、宛名を九州農政局長と九州厚生局長の連名にして、どちらか一方に提出する扱いでした。一覧は注記まで読んでください。迷ったときの問い合わせ先として、手引きは中小企業税制サポートセンターを案内しています。

電子申請と、認定までの日数

 申請は「経営力向上計画申請プラットフォーム」から電子で行えます。利用には、GビズIDプライムまたはGビズIDメンバーのアカウントが必要です。プライムの取得にかかる審査期間は、オンライン申請では最短即日、書類申請では最大1か月と案内されています。

 経済産業局だけに出す申請は、令和4年(2022年)4月から原則として電子申請になりました。そのほかの対応は、省庁によって違います。経済産業省、農林水産省、国土交通省、厚生労働省など8つの省庁は、電子申請と認定書のダウンロードに対応しています。一方、国税庁や財務省などは紙の申請だけです。上の表でいえば、熊本国税局あての申請は郵送になります。

 申請から認定までの標準的な期間は、手引きによると次のとおりです。

  • 約30日:提出先の省庁が1つの場合
  • 約45日:複数の省庁にまたがる場合
  • 約14日(休日などを除く):経済産業局だけに電子申請する場合

 もっとも、九州経済産業局のページには「電子申請で30日程度」という記載もあります。九州地方整備局は、月内の認定を希望するなら毎月15日(土日祝日の場合は翌開庁日)までに申請書が届くように、と案内しています。申請書に不備があると補正でさらに日数がかかるため、14日を前提にした日程は組まないほうが安全です。何にせよ、不備がない時の標準処理期間ですのでご注意ください。

 事業譲渡に伴う不動産取得税の軽減を受ける場合は、業種にかかわらず、不動産所在地の都道府県を経由して提出して主務大臣に申請する形になるそうです。

 一応書いてあるソースは見ながら書いていますが、書類としてはシンプルなものの、類型や業種によって対応が異なるところもありますからけっこう制度としては複雑ですね。

認定のあとに気をつけること

  • 設備を追加するときは変更申請をする。追加する設備も、取得する前に変更の認定を受けるのが原則です。資金調達額の少しの変更や代表者の交代など、計画の趣旨が変わらない軽い変更は、申請が要りません。
  • 目標に届かなくても、それだけで取り消されることはない。手引きは、目標が未達だったことをもって認定を取り消すことはないとしています。ただし、計画に従って事業が行われていない場合は、取り消されることがあります。
  • 認定書と申請書・別紙の一式は保管する。 中小企業経営強化税制を利用する場合は、税務申告の際に認定申請書と認定書の写しを添付します。九州経済産業局は、認定計画書の一式は再発行できないと案内していますのでご注意ください。
  • 類型によっては、取得後の報告が必要になる。 たとえばB類型では、投資計画の実施状況を毎年度報告するものとしています。初回の提出期限は、設備を取得した事業年度の翌事業年度終了後4か月以内です。報告が必要な期間は、確認書を発行した経済産業局に確認してください。

申請書は誰が書くのか:国は「事業者本人」を求めている

 計画づくりでは、商工会議所・商工会、金融機関、士業などの認定経営革新等支援機関の支援を受けられます。手引きにも、そう書かれています。では、申請書そのものを支援機関に書いてもらえるのでしょうか。申請プラットフォームの「よくあるご質問」には、次のやり取りがあります。

(質問)認定経営革新等支援機関が事業者の代わりに申請書を作成することは可能か。
(回答)経営力向上計画は、申請される事業者様ご自身にて申請いただく必要があります。

中小企業庁 経営力向上計画申請プラットフォーム「よくあるご質問(FAQ)」(令和8年4月14日更新)

 申請書に添えるチェックシート(令和8年2月25日更新)にも、「本申請の内容については、全て事業者本人が記載したか」という確認の項目があります。中小企業庁のページによると、この項目は、新規・変更の申請だけでなく、補正も対象です。

 あわせて知っておきたいのが行政書士法による業際制限です。関東経済産業局の経営力向上計画の申請ページにおいても、「行政書士又は行政書士法人でない者が、業として他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を行うことは、法律に別段の定めがある場合を除き、行政書士法違反となりますので、御注意ください。」と記載が出ているところです。また、上記QAを見たときに、「作成の可否」について問うているのに対し、「自身で申請」という回答となっているあたり、代理の作成自体は想定はされているようにも読めるところです。したがって、作成の代行自体を行う場合は行政書士に依頼したほうがベターと言えるでしょう。

 ただ、王道の申請については計画は事業者が自分で書き、数字の出し方や指針の読み方で迷ったところを支援機関に相談する、という進め方が制度の想定かとは思われます。申請書は3枚程度で、指標の数字は直近の決算書から出せます。自社の現状と、これから数年の取り組みを、経営者自身の言葉で整理する機会として使えます。

 しかしながら、実際に私が数年ぶりですっかり細かいことは忘れていて・・・という状態でしたし、初めての担当者にあたることもある話かなと思います。確認をご依頼の場合は余裕を持っての依頼をしておいた方がベターかと思います。

まとめ:最初の一歩は「産業分類」と「提出先」の確認

  • 経営力向上計画は、自社の経営力を高める計画を国に認定してもらう制度。認定は入口で、税制や融資にはそれぞれ別の条件がある
  • 設備の税制を使うなら、証明書・確認書 → 申請 → 認定 → 設備の取得、の順が原則。適用期限は令和9年3月31日
  • 調べることは、事業分野、指針、自社の現状、目標の数字、取り組み・資金・設備の5つ。申請書は3枚程度
  • 提出先は業種で決まる。宮崎県の製造業や卸・小売業(一般)は九州経済産業局、建設業は九州地方整備局、食品・飲食は九州農政局、医療・介護は九州厚生局

 設備投資の予定がある方は、発注の前に、自社の産業分類と提出先を確かめ、販売店に証明書のことを聞くところから始めてください。計画づくりで迷うところがあれば、お問い合わせページからご相談ください。

 ※本記事は2026年10月10日時点の公開資料をもとにした筆者の整理です。税制の要件や期限、提出先の窓口は、改正や変更があります。実際の申請や税務の判断にあたっては、最新の手引きと一覧を確かめ、提出先の窓口や顧問税理士にご確認ください。

参考にした資料

補助金の申請でお悩みの方へ

補助金の申請、ひとりで抱えなくて大丈夫です

末吉宏成は、宮崎県内でも数少ない「中小企業診断士 × 行政書士」の有資格者です。「どの補助金が使えるか」の見極めから、採択のカギを握る経営計画書づくり(診断士の視点)、申請書類の作成(行政書士業務)、採択後の実績報告まで、一気通貫でサポート・伴走します。「計画書を書く時間がない」「制度が複雑で分からない」——そんな小規模事業者の“社外の担当者”として、面倒な部分をお引き受けします。

※補助金は採択を保証するものではありません。まずは無料相談で、自社が対象か・何から始めるかを整理しましょう。

補助金について無料で相談する
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

末吉IT経営支援事務所/末吉宏成行政書士事務所 代表
中小企業診断士/行政書士/情報処理安全確保支援士/ITストラテジスト
宮崎県よろず支援拠点 コーディネーター。宮崎を拠点に、中小企業のIT・情報セキュリティ・補助金の活用を支援しています。

コメント

コメントする

目次